マーケティングの外注先の選び方と費用|代行・コンサル・伴走の違い
Webマーケティングを外注するときの依頼の形(代行・コンサル・伴走)と依頼先の違い、施策ごとの費用の考え方、任せる範囲の決め方、失敗しない選び方を解説。丸投げで失敗しないために、社内に残すべき役割も整理します。
「マーケティングを外に頼みたいけれど、どこに・何を頼めばいいのか分からない」「代行とコンサルと伴走は何が違うの?」——専任のマーケティング担当がいない中小企業の方から、よく聞く悩みです。
先に結論をお伝えすると、外注で失敗しないためには、依頼先を探す前に何を・どこまで外に出すかを決めることが大切です。そのうえで、「外部に手を動かしてもらう(代行)」「助言をもらって自社で動く(コンサル)」「一緒に手を動かす(伴走)」のどの形が合うかを選びます。また、どの形を選んでも、目的を決めることと最終的な判断は社内に残す必要があります。
この記事では、外注できる業務の全体像、依頼の形と依頼先の違い、施策ごとの費用の考え方、失敗しやすいパターン、外注先を選ぶときの確認ポイントまでをまとめます。特定の会社を勧める記事ではなく、自社に合う頼み方を判断するための材料として読んでください。
外注の前に決めておくこと
外注先を探しはじめる前に、次の3つを社内で決めておくと、相談や見積もりがスムーズになります。
1. 目的を数字で決める
「マーケティングを強化したい」だけでは、外注先も何を提案すればいいか分かりません。「ホームページからの問い合わせを月◯件にしたい」「新しいサービスの見込み客を◯件集めたい」のように、何を・どれくらい増やしたいのかを数字で決めておきます。数字が決まっていれば、外注先の提案が目的に合っているかも判断しやすくなります。今のホームページのどこに課題があるかを数字で確かめる方法は、ホームページで集客できない原因と対策で解説しています。
2. どこまで任せるかを決める
戦略を考えるところから任せたいのか、作業だけを任せたいのか、自社で動くための助言がほしいのか。任せる範囲によって、合う依頼先も費用も大きく変わります。
3. 渡せる情報と予算を整理する
外注先がすぐに動けるように、次のような情報を用意しておきます。
- 商品・サービスの資料、料金、よくある質問
- どんなお客さまが、どんな理由で選んでくれているか
- これまでに試した施策と、その結果
- Googleアナリティクス(GA4。サイトへのアクセスを計測する無料ツール)や Google Search Console(検索での表示状況を確認できる無料ツール)、広告アカウントなどのデータ
- 月にかけられる予算と、期間の目安
- 社内の窓口になる人と、週にかけられる時間
外注できる業務の全体像
Webマーケティングの業務は、大きく「考える」「動かす」「測る」の3つに分けられます。
- 考える(戦略・設計): 誰に・何を・どう伝えるかを決める。狙う検索キーワードや、使う広告媒体を選ぶ
- 動かす(実行): 広告の運用、SEOの記事づくり、SNSの投稿、ホームページやLP(広告の受け皿になるページ)の制作
- 測る(分析・改善): 問い合わせなどの成果を計測する設定、数字の振り返り、次の打ち手の提案
このうち、専門的な知識や作業量が必要な「動かす」「測る」の多くと、「考える」のうち案づくりは、外部に任せやすい業務です。一方で、どの案を採るかを決めることをはじめ、外注しても社内に残しておくべき役割があります。
特に「問い合わせが来たあとの対応」は、外部からは見えにくい部分です。せっかく問い合わせが増えても、返信が遅かったり、受注につながったかが外注先に共有されなかったりすると、改善が進みません。
依頼の形は3つ:代行・コンサル・伴走
外注の形は、「誰が手を動かすか」で大きく3つに分かれます。
| 比較項目 | 代行 | コンサル | 伴走 |
|---|---|---|---|
| 外部がすること | 作業そのものを引き受ける | 戦略や改善策を助言する | 設計と判断を一緒に行い、作業も一部を一緒に進める |
| 社内の作業量 | 少ない | 多い(実行は自社) | 中くらい |
| ノウハウが社内に残るか | 残りにくい | 残る(実行できれば) | 残る |
| 向いている会社 | 予算があり、作業をまとめて任せたい | 社内に実行できる人がいて、方針だけほしい | 社内に担当者はいるが、経験が足りない |
どれが優れているというより、社内にどれだけ時間と人を割けるかで選ぶのが基本です。たとえば、まずは代行に任せて進め方を学び、担当者が育ってきたら自社に移す。あるいは、最初は伴走で方針を固め、作業量が増えたら一部を代行に任せる。このように、時期によって形を変えることもできます。
依頼先の種類
依頼先は、大きく次の4つに分かれます。
- 広告代理店: 広告運用を専門にしている。広告費がある程度大きい場合に向いている
- 制作会社: ホームページやLPの制作が中心。制作とあわせて、SEOや広告を扱う会社もある
- コンサルティング会社: 戦略づくりや改善の助言が中心。実行まで手伝う会社もある
- フリーランス(個人): 費用を抑えやすく、担当者が変わりにくい。得意分野は人によって大きく違う
広告運用の代行に絞った依頼先の選び方は、広告運用代行の費用相場と選び方で詳しく解説しています。また、SEOと広告のどちらから手をつけるかはSEOとリスティング広告、どちらから始めるかの記事、SNS広告についてはMeta広告の始め方と費用の記事も参考にしてください。
外注費用の考え方
マーケティングの外注費用は、施策によって料金のかかり方が違います。主な施策ごとの考え方は次のとおりです。
| 施策 | 料金のかかり方 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
| 広告運用 | 広告費+手数料。料率型では、広告費の20%前後とする例が多い | リスティング広告の費用相場 |
| SEO | 月額のコンサルや、記事1本ごとの制作費。コンサルは月額10万〜50万円とする例が多い | SEO対策の費用相場 |
| SNS運用 | 月額が多い。投稿の本数や、撮影・画像制作を含むかで変わる | — |
| ホームページ・LP制作 | 1回ごとの制作費。ページ数や機能で大きく変わる | — |
| 戦略・コンサル | 月額、または1回ごとのスポット | — |
※ 金額は、各社が公開している料金情報で多く見られる例です。実際の金額は見積もりで確認してください。
見積もりを比べるときは、月額だけでなく、次の点も含めて考えます。
- 年間の総額: 初期費用、最低契約期間、別料金になる作業(制作費やレポート費用など)を含めた総額で比べる
- 社内の時間: 外注しても、打ち合わせや確認、情報の提供には社内の時間がかかる。コンサルの場合は、実行する人の時間も必要
- 成果との釣り合い: 1件の問い合わせから得られる利益に対して、かける費用が見合うか
外注で失敗しやすい5つのパターン
外注がうまくいかないケースには、共通するパターンがあります。
- 丸投げしてしまう: 目的や商品の情報を十分に渡さないまま任せると、外注先は一般的な施策しか打てません。社内の窓口を決め、定期的に話す場を持ちましょう。
- 目的があいまいなまま始める: 「アクセスを増やす」のか「問い合わせを増やす」のかで、やるべきことは変わります。外注先と、何を成果とするかをそろえておきます。
- アカウントやデータが外注先の名義になっている: 広告アカウントやGA4が外注先の名義だと、契約を終えたときにデータを引き継げないことがあります。アカウントは自社で作り、外注先には権限を付与する形にします。
- 短い期間で判断してしまう: 効果が出るまでの期間は施策によって違い、SEOのように時間がかかる施策を短い期間で判断すると、育つ前にやめてしまうことになります。施策ごとに、いつ・何を見て判断するかを最初に決めておきます。
- 依頼の範囲がすれ違う: 「記事の修正までしてくれると思っていた」「レポートに改善提案がない」といったすれ違いは、契約前に作業の範囲を書面で確認していないと起こりがちです。
外注先を選ぶときの確認ポイント
外注先を選ぶときは、料金の安さだけでなく、次の7つを確認しておくと失敗を防ぎやすくなります。
- 目的のすり合わせ: 自社の目的や商品について、質問をしてくれるか。最初から決まったプランを勧めるだけになっていないか。
- 作業の範囲と成果物: 料金に含まれる作業と、別料金になる作業がはっきりしているか。
- 実際の担当者: 契約後に実際に作業する人と、契約前に話せるか。
- 報告と改善提案: 数字の報告だけでなく、次に何をするか・なぜするかまで提案してくれるか。
- アカウントとデータの持ち主: 広告アカウントや計測のツールを、自社の名義で管理できるか。
- 近い業種や商材での経験: 自社と近いお客さまを相手にした経験があるか。
- 契約期間と解約の条件: 最低契約期間や、途中で解約するときの条件はどうか。
フリーランスに依頼するときに知っておきたいこと
個人のフリーランスに業務を委託する場合は、2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)」のルールを知っておく必要があります。この法律の「フリーランス」は、従業員を使わずに1人で仕事を受ける個人や、1人で運営している会社を指します。
- 発注する側は、業務の内容や報酬の額、支払期日などの取引条件を、書面やメールなどで明示する必要があります。口頭だけの依頼は認められません。この義務は、従業員を使っていない個人の発注者にもかかります。
- 従業員を使っている発注者には、さらに、成果物を受け取った日(広告運用のような作業を委託した場合は、その作業の提供を受けた日)から60日以内のできるだけ短い期間で、報酬の支払期日を決めることなどの義務があります。
詳しくは、公正取引委員会や厚生労働省の公式ページで確認してください。依頼の内容をメールなどで書いて残しておくことは、法律への対応だけでなく、「頼んだつもり」「頼まれていない」のすれ違いを防ぐことにもつながります。
よくある質問
Webマーケティングの外注費用の相場はいくらですか?
施策によって料金のかかり方が違うため、ひとつの相場では言えません。各社が公開している料金情報では、広告運用は広告費の20%前後の手数料、SEOのコンサルは月額10万〜50万円とする例が多く見られます。月額だけでなく、初期費用や別料金の作業を含めた年間の総額と、社内でかかる時間を含めて比べてください。
小さな会社でも、マーケティングを外注できますか?
できます。ただし、広告代理店の中には、月の広告費の下限(最低出稿金額)を設けているところもあります。予算が少ない場合は、作業の範囲を絞ってフリーランスに頼む、方針づくりだけをコンサルに頼む、一緒に手を動かす伴走型にするなど、範囲や形を工夫すると始めやすくなります。
代行とコンサルは、何が違いますか?
いちばんの違いは「誰が手を動かすか」です。代行は外部が作業を引き受けるため、社内の手間は少ない一方、ノウハウは社内に残りにくくなります。コンサルは外部が助言し、実行は自社で行うため、社内に実行できる人が必要です。その中間として、外部と一緒に手を動かす伴走という形もあります。
フリーランスと会社、どちらに頼むのがいいですか?
フリーランスは費用を抑えやすく、担当者が変わりにくいのが利点です。一方で、1人で対応するため、休みのときの対応や、対応できる施策の範囲を確認しておく必要があります。会社は担当者が複数いて体制が安定しやすい反面、費用は高くなりやすく、担当者が変わることもあります。任せたい範囲と予算に合わせて選びましょう。
外注しても、社内に担当者は必要ですか?
必要です。目的や予算を決めること、商品やお客さまの情報を渡すこと、問い合わせのあとの対応、最終的な判断は、外部には任せられません。専任でなくてもよいので、外注先との窓口になり、週に少しでも時間を割ける人を決めておくと、外注の成果が大きく変わります。
まとめ
- 外注先を探す前に、目的(何をどれくらい増やすか)と、どこまで任せるかを決める
- 依頼の形は、外部が手を動かす「代行」、助言をもらって自社で動く「コンサル」、一緒に進める「伴走」の3つ。社内に割ける時間と人で選ぶ
- 費用は施策ごとに料金のかかり方が違う。年間の総額と社内の時間を含めて比べる
- アカウントやデータは自社の名義で持ち、作業の範囲は契約前に書面で確認する
- フリーランスに依頼するときは、取引条件をメールなどで明示する
外注は、社内に足りない知識や手を補うための手段です。何を外に出し、何を社内に残すかを決めておけば、限られた予算でも外注の効果を引き出しやすくなります。
参考
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