SEOとリスティング広告、どちらから始める?違いと中小企業の判断基準
SEOとリスティング広告の違いを、費用・効果が出るまでの期間・止めたときの影響で比較。急ぎ度・予算・社内の体制から、中小企業がどちらから始めるかを決める4つの質問と、両方を組み合わせる順番を解説します。
「ホームページから問い合わせを増やしたい。SEOと広告、どちらから手をつければいいの?」——Web集客を始めようとする中小企業の方から、とても多くいただく相談です。
先に結論をお伝えすると、すぐに問い合わせが必要なら広告、時間をかけて育てられるならSEOが基本です。ただ、実際にはどちらか一方に決めるより、広告で「売れるキーワード」を確かめてから、SEOで積み上げるという順番がうまくいきやすいと考えています。
この記事では、SEOとリスティング広告の違いを整理したうえで、どちらから始めるかを決める4つの質問、それぞれが向いているケース、両方を組み合わせる順番、どちらを選んでも先に整えておきたいことをまとめます。
SEOとリスティング広告の違い
まずは、2つの手段の違いを整理します。
- SEO(検索エンジン最適化): Googleなどの検索結果で、広告ではない通常の枠(自然検索)に自社のページが上位に表示されるように、サイトや記事を整える取り組みです。
- リスティング広告(検索広告): 検索されたキーワードに合わせて、検索結果に表示される広告です。Googleの検索結果では、「スポンサー」や「広告」といった表示が付きます。
どちらも「検索した人に見つけてもらう」ための手段ですが、お金のかかり方と効果の出方がまったく違います。
| 比較項目 | SEO | リスティング広告 |
|---|---|---|
| 費用のかかり方 | クリックされても費用はかからない。記事づくりやサイト改善に人件費・外注費がかかる | クリックされるたびに広告費がかかる |
| 効果が出るまで | 数か月以上かかることが多い | 配信を始めたその日から表示できる |
| 止めたとき | 評価されたページは、しばらく集客を続ける | 配信を止めると、その日から表示されなくなる |
| 調整のしやすさ | 順位は自社で決められない | 表示するキーワード・地域・時間・予算を自社で決められる |
| 向いている検索 | 「〜とは」「〜のやり方」など、調べものの検索も拾える | 「サービス名+依頼」など、今すぐ依頼したい人の検索に絞って出せる |
ひとことで言うと、広告は「時間を買う」手段、SEOは「資産を積み上げる」手段です。広告はすぐに結果が見える代わりに、出し続ける限り費用がかかります。SEOは成果が出るまで時間がかかる代わりに、ページの評価が続く間は、広告費をかけずに集客が続きやすくなります。
なお、広告にお金をかけても、自然検索の順位が上がることはありません。Googleは公式に、広告を掲載しても検索結果でのサイトの表示状況には影響しないと説明しています。
リスティング広告の費用の仕組みは、リスティング広告の費用相場の記事で詳しく解説しています。
どちらから始めるかを決める4つの質問
「どちらが優れているか」ではなく、自社の状況にどちらが合うかで考えます。次の4つの質問に順番に答えてみてください。
質問1:そもそも、自社のサービスは検索されているか
SEOもリスティング広告も、「検索した人」に届ける手段です。まったく新しいサービスや、名前が知られていない商品のように、そもそも検索されていない場合は、どちらに力を入れても効果が出にくくなります。
検索されているかどうかは、Google広告の「キーワードプランナー」で、キーワードごとの月間検索数の目安を調べられます。利用するには、Google広告のアカウントを作り、お支払い情報の入力などの設定を済ませておく必要があります。検索がほとんどない場合は、SNSや展示会、紹介など、検索以外の手段から考えるほうが近道です。
質問2:すぐに問い合わせが必要か
「今月中に問い合わせがほしい」「新しいサービスの反応をすぐに確かめたい」という場合は、広告が向いています。SEOは、記事を公開してから検索結果で評価されるまでに時間がかかるため、短期間で結果を出すのには向きません。
質問3:記事やページを作り続ける体制があるか
SEOは、記事を1本書いたら終わりではありません。狙うキーワードを決め、記事を書き、公開後も数字を見て直していく作業を、数か月以上続ける必要があります。社内で週に数時間を確保できるか、外部に頼む予算があるかを考えておきましょう。
質問4:1件の問い合わせに、いくらまでかけられるか
広告は、クリックのたびに費用がかかります。狙うキーワードのクリック単価が高い業界では、1件の問い合わせを得るのにかかる費用も高くなります。
1件の問い合わせ(または1件の受注)にかけられる金額を先に決めておき、広告でその金額に収まりそうかを見積もります。収まりそうにない場合は、広告は「狙う検索を絞って小さく試す」にとどめ、SEOに比重を置くほうが現実的です。
質問1〜3の流れを図にすると、次のようになります。広告を選んだ場合は、質問4の金額を目安に予算を決めます。
リスティング広告から始めたほうがいいケース
次のような場合は、広告から始めるのがおすすめです。
- すぐに問い合わせがほしい: 新しいサービスの立ち上げ直後や、繁忙期の前など、短期間で結果が必要なとき。
- サイトを作ったばかり: 公開したばかりのサイトは、SEOで評価されるまでに時間がかかります。その間の集客を広告で補えます。
- 地域を絞ったサービス: 「地域名+サービス名」で検索する人に、対応できる地域だけに絞って表示できます。
- 期間限定のキャンペーン: 期間が決まっているものは、SEOで評価されるのを待っていられません。
- どのキーワードが問い合わせにつながるか分からない: 広告なら、配信を始めてから比較的短い期間で「どの検索から問い合わせが来るか」を確かめられます。
Google以外では、Instagram・Facebookに出す Meta広告 という選択肢もあります。検索されにくい商品でも、興味のありそうな人に届けられるのが特徴です。
SEOから始めたほうがいいケース
一方で、次のような場合は、SEOに比重を置くほうが合っています。
- 検討期間が長い商材: BtoBのサービスや高額な商品のように、比較・検討に時間をかける人が多い場合、「〜の選び方」「〜の費用」といった調べものの段階から接点を持てるSEOが効果的です。
- 広告のクリック単価が高い業界: 1クリックの費用が高く、広告だけでは採算が合いにくい場合です。
- 専門知識やノウハウを持っている: 自社の経験を記事にできる会社は、他社にはない内容で評価されやすくなります。
- 広告費を継続的にかけ続けるのが難しい: SEOは広告費がかからない代わりに、記事づくりの手間と時間がかかります。急がない集客の土台として向いています。
SEOを外部に頼む場合の費用の考え方はSEO対策の費用相場の記事に、外注先の選び方はマーケティングの外注先の選び方の記事にまとめています。自分で進める場合は、SEO対策は自分でできる?をご覧ください。
両方を組み合わせる順番
予算と体制が許すなら、両方を組み合わせる方法もあります。その場合の順番の一例は次のとおりです。
- 広告で「問い合わせにつながるキーワード」を確かめる: 狙う検索を絞って広告を出し、どのキーワードから問い合わせが来るかを見ます。
- 反応のよかったキーワードで、ページや記事を作る: 問い合わせにつながったキーワードは、SEOで狙う価値が高いキーワードです。そのキーワードで検索する人の疑問に答えるページを作ります。
- SEOで上位に表示されたら、広告の配分を見直す: 自然検索で安定して集客できるようになったキーワードは、広告費を減らし、ほかのキーワードの検証に回します。
広告は「すぐに答えが出るテストの場」、SEOは「答えが分かったキーワードで長く集客する場」と考えると、2つの手段を無理なく組み合わせられます。
どちらを選んでも、先に整えておきたいこと
SEOでも広告でも、集客の手段を動かす前に、次の3つを整えておくと無駄が減ります。
問い合わせの受け皿になるページ
せっかくページを見てもらっても、サービスの内容や料金の目安、問い合わせの方法が分かりにくいと、問い合わせにはつながりません。広告やSEOにお金や時間をかける前に、受け皿になるページで「誰の・どんな悩みを・どう解決するのか」が伝わるかを確認しておきましょう。受け皿のページの見直し方は、ホームページで集客できない原因と対策で詳しく解説しています。
問い合わせの計測
どの広告・どのページから問い合わせが来たのかが分からないと、何を続けて何をやめるかを判断できません。Googleアナリティクス(GA4)や、Google広告のコンバージョン(成果)の計測を、集客を始める前に設定しておきます。
Google Search Console の登録
Google Search Console は、自社のサイトがどんなキーワードで検索結果に表示され、何回クリックされたかを確認できる無料のツールです。SEOの成果を確かめるのはもちろん、広告を出しているキーワードと自然検索の状況を見比べるのにも役立ちます。
よくある質問
リスティング広告を出すと、SEOの順位に影響しますか?
影響しません。Googleは公式に、広告を掲載しても検索結果でのサイトの表示状況には影響しないと説明しています。広告にお金をかけても自然検索の順位は上がりません。逆に、広告を止めたからといって順位が下がることもありません。ただし、広告で分かった「問い合わせにつながるキーワード」をSEOの記事づくりに生かす、という形で間接的に役立てることはできます。
SEOは、どれくらいで効果が出ますか?
サイトの状態や狙うキーワード、競合の強さによって大きく変わるため、決まった期間はありません。Googleの公式ガイドでも、変更が検索結果に反映されるまでに数時間から数か月かかることがあるとされ、効果の確認は数週間ほど待ってから行うようすすめられています。新しく記事を書いて評価を積み上げる場合は、数か月以上かかることが多いため、すぐに結果を求めず、見直す時期を決めて続けることが大切です。
予算が少ない場合は、どちらから始めればいいですか?
すぐに問い合わせが必要なら、狙う検索を「今すぐ依頼したい人」のキーワードに絞って、少額の広告から始めるのがおすすめです。急がない場合は、自社の強みが生かせるテーマで記事やページを作るSEOから始めましょう。どちらの場合も、1件の問い合わせにかけられる金額を先に決めておくと、続けるかどうかを判断しやすくなります。
SEOと広告、両方やる必要はありますか?
必ずしも両方は必要ありません。ただ、広告で反応のよいキーワードを確かめ、そのキーワードでSEOの記事を作るという組み合わせは、狙うキーワードを選ぶときの迷いを減らせます。予算や体制に合わせて、まずは片方から始め、余裕が出てきたらもう片方を加える形でも十分です。
Instagram広告などのSNS広告は、どう考えればいいですか?
SNS広告は、検索していない人にも、年齢や興味などの条件で広告を届けられるのが特徴です。まだ検索されていない新しい商品や、写真で魅力が伝わる商品に向いています。検索広告やSEOが「探している人に見つけてもらう」手段なのに対して、SNS広告は「まだ探していない人に知ってもらう」手段と考えると使い分けやすくなります。詳しくはMeta広告の始め方と費用の記事をご覧ください。Googleの広告の中で、Webサイトやアプリに画像で表示する広告との違いは、リスティング広告とディスプレイ広告の違いで解説しています。
まとめ
- SEOは「時間をかけて資産を積み上げる」手段、リスティング広告は「費用をかけて時間を買う」手段
- どちらから始めるかは、検索されているか・急ぐか・作り続ける体制・1件にかけられる金額の4つで考える
- すぐに問い合わせが必要なら広告、検討期間が長い商材や専門知識を生かせるならSEOが向いている
- 両方を使うなら、広告で問い合わせにつながるキーワードを確かめてから、SEOで積み上げる順番がおすすめ
- どちらを選んでも、受け皿になるページと問い合わせの計測を先に整えておく
SEOと広告は、どちらかが正解というものではありません。自社の状況に合った順番で始め、数字を見ながら配分を変えていくのが、少ない予算で集客を伸ばすための考え方のひとつです。
参考
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